31歳、男性です。
もう4年ほど前の話になるのですが、当時60歳になったばかりの父親が再婚をしました。
もともと両親は私が14歳のときに離婚をしており、以来13年間も父はまともに恋人も作らず過ごしてきていたのです。
「女なんか要らん。息子たちと仕事が俺の生きがいだ。」と、そう言う父を見ては、安心と心配の両方の気持ちを抱いていたのを覚えています。
ところがそんな父も、定年間近になって少しずつ変わってきました。
私たち息子は全員既に独立、誇りにしていた仕事ももうすぐ退職、きっと心の拠り所を見失っていたのでしょう。
私の知らないところで、同世代の女性とお見合いを重ねるようになっていました。
そして受けた再婚の報告は、まさに晴天の霹靂でした。
あれはちょうど父が60歳を迎えた年、みんなで還暦祝いをしていた席でのことです。
「お父さんは再婚するぞ!」と、力強く宣言したのです。
実は私はこのタイミングで父がお見合いをしていたことを知り、あれよあれよという間にその流れで再婚相手も紹介されました。
何とサプライズで、還暦祝いの席に呼んでいたわけです。
兄弟と視線を合わせ、お互いに困惑の表情を浮かべてしまいました。
ただそれでもすぐに祝福する気持ちになれたのは、私たちも大人になっていたからかもしれません。
これが10代の頃なら、私はまた違った感想を持っていたでしょう。
現に両親が離婚した当初は、心のどこかで復縁を望んでいました。
父も母も、それぞれ別の人と再婚するだなんて考えたくもなかったのです。
このタイミングで当時と同じ気持ちにならなかったのは、それだけの時が過ぎていたからなのでしょう。
新しい母親は59歳、とても品のある女性というのが第一印象でした。
しかしいくつになっても、やはりいきなりはこの人が新しい母とは思えません。
私たち息子もしっかりとした大人になっていたからこそ、微妙な距離感を感じてしまうのです。
おまけに母親側もバツ1で、娘が2人いるという身でした。
この年にして新しい母親と義理の姉妹ができる気持ち、一体どう表現すればいいのか分かりません。
こうした経緯もあり、実は再婚から4年経った今でも、母に対して敬語を使っています。
義理の姉妹に対しても敬語、何なら全く接点はないくらいです。
父が幸せならそれでいいのですが、新しい家族ができることがこんなにも気難しいものだとは知りませんでした。
今後この関係性が大きく変わるのかどうか、それは分かりません。
とはいえ近い将来、一度くらい思い切って「母さん」と呼んでみたいものです。
親の再婚とは、子どもがいくつになっていても大変なことなのだと学びました。